不必要な善意 

わが庭の 宮居に祭る 神々に 世の平らぎを いのる朝々 (昭和天皇)

◎  人生にはこんな日もある 

書こうか書くまいか・・・

今日ほど日本人が情けなく感じた日はない

そんな思いをした一日だった


朝、いつものように現場に出かける準備を

していた時、遠くで「すいません」という声が

「ちょっと道を教えてほしい」

という言葉に、準備作業の手を止めその人の

処へ行ってみた

「高速道路のPAに行く道を教えてほしい」

というのである

分かりやすい道順を教えた後に、その男の言う事は

「静岡から一つ手前のPAまで高速バスに乗ってきた」

「6時間かかってここまで歩いてきた」という・・・

私が訪ねているわけでもないのだが、問わず語りで

北海道から仕事を探しに2ケ月前、友人が住む静岡に

来たといい、その友人が交通事故で入院し彼の住んでいた

アパートに出入りできなくなったというのである

さらに、北海道へ帰るためにアルバイトをして旅費を

工面して帰るか、ヒッチハイクをして帰るつもりだという

さらに、彼のいう事には「一番旅費が安いのはフェリーで

敦賀・舞鶴、名古屋から出ているので、とりあえず名古屋

に行きたい」というのである

私は黙って聞いていたが、訛りを聞く限り道産子だとは

思うが、年齢を聞けば私より少し下で、還暦を迎えたという

「とにかく、気を付けていきなさいね」 と別れようとしたとき

いきなりポケットから財布を出して、私に中を見せた・・・

空っぽのくたびれた黒い二つ折り財布・・・

「そら来た・・・」と私は彼の意図が理解できた

「旅費の無心である」 (彼の話が真実ならばであるが)

北海道に帰ったら、必ず送るから何とかならないかという

私はいろんな言葉が頭の中で飛び交っていたが、何も言わずに

聞いていた


最後の彼の言葉が「朝から飲まず食わずで歩くのも辛い」

私は思わず彼を殴りたい衝動に駆られた・・・

あまりにも情けない日本人、同郷人として・・・である

彼の言葉が真実、嘘、どちらでも構わないのだが

この安易な発想しかできない、最低の日本人を観て

「同情」ではなく「怒り」と「失望」を感じてしまったのである



二か月間、静岡にいたと言う事は、雪が解けてから

内地に来たと言う事だ

その意味することは、「出稼ぎ」に来た人間ではない

本気で仕事を探すつもりの人間が、そんな安易な

仕事探しの旅に出てくるわけがない


この男が本当に北海道に家があるなら、他人に無心する前に

家族・親戚に連絡するのが筋である

それができない人間に金を貸すほど長屋の爺は甘くない


その男の旅費(フェリー代)くらい、大した金ではない

貸すことも恵んでやることも私には可能だった


私は彼の言葉が少し本当で、凡その処「嘘」だと感じた

それでも・・・

私は彼に千円札2枚を渡して、何も言わず背を向けた

仕事に出かける準備も途中で、仲間が出勤してくる時間

が近づいていたからだ


こんな同郷人を仲間に見せたくない・・・と強く思った


駅前で「寄付金」を集める詐欺師の映像がダブってしまった


私はその金を「落としたカネ」として「忘れる」ことにした

一枚の千円札は「哀れな還暦男」に対して

もう一枚の千円札は「この男に会った」神の意志に・・・

「浄財」として渡したことにして、忘れることにした。


私も取引先に逃げられ、支払いに追われ飲まず

食わずの日を過ごした経験がある

それを救ってくれたのは古い友人たち


だから、飲まず食わずの男を観ていると、過去の自分を

観ているようで、言いようのない感情が湧いてくる

だから、彼に渡した金を「惜しい」とは思わないのである


黙って手を差し伸べてくれた友人たちがいた自分と

頼るべき友人のいない男の差はなんだろう?

腹立たしいやら情けないやら、という朝の出来事である。


ここで話は終わるはずだった(笑)

しかし・・神は更なる試練を長屋の爺に与えてくれた

仕事が早く終わり、老舗そうめんの店で昼食

6台のテーブルがある「座敷」の一部屋でワイワイ言い

ながら仲間と楽しい食事だった


気分よく食事を終え、さぁ帰ろうというとき

私が最後に座敷を出たのだが、「靴が無い!」

何処を探しても「無い!」

ほかの座敷の靴箱を観ても「無い!」

とりあえず店長を呼んで事情説明をした

その店長が靴箱から「汚い靴」を出して

これですか? と聞く・・・

「違う!」というと、座敷を覗いて客の様子を

確認して一言・・

「この靴を履くようなお客様は居ませんね」

その言葉の意味は、この靴の持ち主が履いて帰った

そういう事なのである(笑)

一年近く履いた靴だから、惜しくはないが気分が悪い


他人の靴と自分の靴を間違う神経が理解できない

似通った靴なら「うっかり」もあるだろう

しかし、残された靴はホームセンターか職人の店

で扱うような靴であり、私の靴は某メーカーの軽量

が売りの靴で、デザインもまるで違う靴なのである

店長もどういう言葉を出してよいものか困惑していた

「こんなこと初めてでして・・・」

当たり前である、頻繁に有ったら問題だろう(笑)


とりあえずは連絡先と名前をメモして

間違い客が連絡してきた時は電話します とのこと


本心は 「もういらんわ!」

何処の誰かが履いた靴など二度と履けないだろう

水虫のおまけつきで帰ってきたらどうする?

ほんと・・・トホホな一日であった

これも人生、これが人生・・・・

そんな一日でした(笑)

                    
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No title

おはようございます。
大変な一日でしたね。
交番に行って対処をきけばいいのに、
お金が無いタクシー代が欲しいと言う従兄弟がいて、
一万円札は持ってるのに、、
黙って様子を見てましたが、タカリ根性があるようでした。
やったけれどもそれ以来顔も見てません。

頭数にいれません。
物乞いは街にあふれてて、勝手な寄付泥棒も多くて気持ちが悪いですね。

2015/07/16(木) |URL|hippopon [edit]

hippoponさんへ

こんばんは

何もない一日より、何かがある一日を過ごせたと

思っています

その後なんですが・・・

現場へ向かう途中(PAとは反対方向)で

あの男を見かけました

その先には大きなパチンコ店、その先は私鉄の駅・・

あの金で私鉄に乗れば「名古屋」には行けるはず

乗ってほしいと願う長屋の爺でした(笑)

溺れる者 爺に縋る・・・のお粗末話でした。

2015/07/16(木) |URL|長屋の爺  [edit]

箸使いは頭使い

お早うございます
報告いたしたいことがありましたので
コメントを書こうと思いましたが
記事に目を通すうちに
今日は『ふさわしくない』と思い
内容を変更いたしました
本題は改めます


「太鼓持ち挙げての果てのたいこもち」と習いました
『たかり』ほど情けないものはありません
そ奴は出自を疑います
世の中とは不思議なもので
歯を食いしばりますと
『運・つき』は向こうからやってきます
(経験あり過ぎです)
困った時には
他人に頼るな世間に頼れと教わりました
人に頼るという事は『お金』をかしてです
つまり『たかり』でしょ
世間とは先人様達が築いた
日本システムのことです
『講』をはじめとした
『公』つまり公的基金にいけば
ブラックでなければ
いくらでもお金は借りられます
たかり根性は一度頸を持ち上げますと
後戻りはできません
冷たい言い方をしますと
自業自得という奴です
『太鼓持ち挙げての果てのホームレス』です


神様が見て居りました
忙しい長屋の爺殿をです
足元を固めろと言ったのかも知れません
暑くなるので
『体』により以上に気をつけてください、とです
意地(精神)だけでは闘えませんが
意地(強靭な)さえあれば大概なんとかなります
たぶん


『水』『塩』『麹』などから始まった
思考を絶やさない為の『お題』に
新たに『箸』が加わりました
皆様のお陰であります
改めて・・コメントいたします。
ではまた

2015/07/21(火) |URL|箸五郎・ウナ [edit]

足元の前に 腰

ウナさん こんばんは

足元を固める前に、腰にきました

神さまの意思でしょうか・・

体に気を付けろとは「タイムリー過ぎ」な話です

精神論(根性・意気地)ではどうにもならない

長屋の爺の肉体であります(笑)

2015/07/21(火) |URL|長屋の爺  [edit]

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