不必要な善意 

わが庭の 宮居に祭る 神々に 世の平らぎを いのる朝々 (昭和天皇)

◎  天皇と梅の木 


勅(ちょく)なれば いともかしこし 

鶯(うぐいす)の 宿はと問はば

いかが答へむ



この和歌は 紀貫之の娘の作である


今から千年余り前・・・第62代・村上天皇の御代

宮中の梅ノ木が枯れてしまった

村上天皇は大変残念に思い、代わりの梅の木

を見つけるように命じた

天皇の勅命である

係りの者が懸命に探し、一本の見事な梅の木を見つけ

宮中に移植したという

おかげで京都御所は芳(かぐわ)しい香りに包まれた

ある日、村上天皇が梅の枝に文(ふみ)が結びつけ

られていることに気付き、文を読んだ天皇はその梅の木

を元の持ち主の家に返したという・・・。

その文に書かれていたのが、冒頭の和歌なのである

この和歌の意味はというと・・・

帝のご命令ですから、梅の木は謹んで差し上げます

でも、この木を止まり木にしている鶯が「私の宿は?」

と尋ねてきたら、どのように答えたらいいのでしょうか?



天皇の命令に直接「断ったり」「拒否する」ことはできない

そんな彼女の気持ちを、鶯に託した歌だった

父である紀貫之が生前、愛(いつく)しんだ梅の木

だったのかもしれない

それとも、亡き父との思い出の梅だったかもしれない


和歌で伝えた娘の間接的な「訴え」も素敵だが

その真意をくみ取って、持ち主に返した村上天皇も

さすがというべきだろう


日本人の「粋」のキャッチボールを観るようだ


「粋(いき)」というのは、「善(い)き」「意気」であり、

「好(い)き」、「良(い)き」、「生き」、と同じもので

観ていて「気持ちの良い(善い)もの」

露骨に拒否して「角を立てない」配慮と奥ゆかしさ

民の心情を汲み取る「懐の大きさ」の絡みは

時を経ても「ほっこり」するような話である。

(大鏡 の記述より)

                    
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