不必要な善意 

わが庭の 宮居に祭る 神々に 世の平らぎを いのる朝々 (昭和天皇)

◎  神宮の幻想と現実 

神宮といえば「伊勢神宮」のことである

では、「神宮」とはどういう意味なのか


神宮というのは、2世紀の中国後漢の文献

に【祖先を祀る廟(びょう)】として出てくる


日本では伊勢神宮に関する文書に「宗廟」の

語が出てくるのは、平安末期(12世紀半ば)から


神宮=宗廟 が一般化したのは鎌倉初期である

鎌倉時代には外宮に「伊勢神道」が勃興し

神宮=宗廟 を盛んに強調したという

じつはこの伊勢神道(神宮=宗廟)は、中国由来

の道教・儒教思想によって理論武装された神道に

他ならない

ということは、鎌倉期までは一般的な認知としての

神宮=宗廟 というものは存在しなかったか、あるいは

希薄だったという事かもしれない


日本書紀に言う「皇祖神」を祀る伊勢は

「神宮」=宗廟 に疑問が湧く・・・


では日本の神宮の由来はというと

和語の【カミノミヤ】と呼ばれていた「祭祀施設」に

大陸から入った漢語の「神宮」をあてた

というのが、通説である。

【宮】とは、御屋(みや)が語義だとするのが一般的

な説である

ところが宮の語源は【庭(ミャー)】であるという説もある

祭祀は大きく分けて、「野外」と「屋内」の二つ

野外で行うものの中で、庭で行うものを【庭上祭祀】という

一方、屋内で行うものは【屋内祭祀】である

其の中間に当たる形式が、高床建物の「床下」で行う

【床下祭祀】というものである


伊勢神宮の祭祀は原則、社殿の外庭で行われ

「八度拝」などは「庭」で執り行われる

さらに、特別重要な【秘儀】は床下で行われている


なぜ・・「心の御柱」が床下に存在するのか

どうして「心の御柱」の祭儀は秘されているのか

その答が、この【床下祭祀】に隠されているような

気がするのである


神宮を訪れた方は一様に「ありがたさ」を感じる

何か「洗われた心地」さえするのは私だけでは

ないだろう

そういう日本の善男善女には申し訳ないが・・・

神宮の本当の姿を知って、今までどおり「崇拝」

して欲しいと願い、これから書く事は「事実」で

あって、神宮を否定する意図など無いと思って欲しい

【宇治橋】

宇治橋が現在の場所に架けられたのは、鎌倉末期

それ以前には、現在のように橋の中央から、日の出を拝む

光景はありえなかった、「写真で見る日の出」は近世に

なって姿を変えたことに因る「ご利益」かもしれない

【広場】

橋の手前の広場、かつては「土産物屋」が密集していた

がしかし、大正年間にはすべて撤去されてしまった

橋を渡った現在の「神域」にも、町屋が連なっていて

明治20年に撤去されてしまった

【手洗場】

五十鈴川の辺にある手洗場が整備されたのは江戸時代

庶民も立ち入る事が可能になった時代に、整備された

ものなのである

【玉砂利】

これも室町後期に敷き詰められたのが最初で、玉砂利を

踏みしめる、「厳かな気分」は、わりと新しい形なのである



【神宮の森】

神宮と言えば「森」をイメージする

その森も現在の森とは「似ても似つかない」姿だった

中世までは鬱蒼と茂った「広葉樹の森」で、亜熱帯樹木が

生い茂る古代のままの姿をしていた

ところが中世以降、杉やヒノキの針葉樹を植樹し、大木に

囲まれた神域を形成することになった

古の神宮の森とは、五十鈴川の「せせらぎの音」と、

「野鳥のさえずり」だけが響き渡る、静寂の地だった


この世には、変わらない「美しさ」もあれば、変わり行く

「美しさ」もある

どうも人間と言う生き物は、変わらないものに価値を

見出し、求める傾向があるようだ


神宮も例外ではなく、古代から変わらぬ「古のまま」を

強調したがる

ところが、人と自然が「折り合いをつけ」、協調しながら

造り上げて行く「美しさ」「価値」もある気がする


神話を「タブー視」することも愚かではあるが

神話として認知されているものに、飾り立てた「虚飾」

を付け加えて強調する態度にも問題があるように

私は感じている

「古(いにしえ)のまま」「古から変わらず」というから

それに異を唱える私のような「へそ曲がり」が出現する


神話は「日本神話」として【市民権】を与え、史実は

きちんと「あきらか」にすることことこそ・・・

神宮のあるべき姿なのだろうと

長屋の爺の暴論かもしれないが、私はそう確信

しているのである


本当のことを知ったからといって、人の心が離れる

というのも考えすぎなのではなかろうか・・・

離れる人間は神宮の本質を理解しないで「幻想」

の世界に酔っていただけであり

上辺ではない「内なるもの」が大切なのである。

                  
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